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相続手続き

いよいよ相続登記の義務化が始まります



令和6年4月1日から、相続登記の義務化が始まります。

相続登記の義務化の背景には、「所有者不明の土地」の問題が深く関わっています。

「所有者不明の土地」とは、相続をする相続人が相続登記をせずに時間が経ち、さらにその相続した相続人が亡くなり、誰が相続して誰が土地の所有者がわからない状態です。

『所有者不明の土地』になると、ゴミ屋敷のような状態になり、環境が悪くなったり、治安が悪くなったりします。
また、そのような状況は火事の温床にもなりやすいともいわれています。
それだけでなく、整備されず放置されているわけですから、樹木の生い茂り越境してくることも想定されます。

また、所有者がわからないと公共事業や開発工事などが進みません。

例えば、2011年に発生した東日本大震災の時なども、被災された地域の再開発をする際にも、所有者不明の土地があり、再開発に遅れを生じさせました。

行政側の一番大きな問題は固定資産税です。

所有者不明の土地は、固定資産税が支払われていないという状況になります。

日本の土地の面積の約10%が、所有者不明の土地といわれています。
日本の土地の面積の約10%が、固定資産税を取りこぼしている状況なのです。

・隣接地や地域に迷惑がかかる
・公共事業や再開発などが滞る
・固定資産税が徴収できない

そのような背景から所有者不明の土地の解消が、議論されてきました。
その解決策として運用されるのが、相続登記の義務化です。

目次

相続登記とは?

不動産の名義が変わる時に、法務局で誰が所有するかを変更する「登記」というものを行います。

土地や建物を売買する時に必要ですが、亡くなった人から相続人に相続する時にも「登記」が必要になります。

その際に行う「登記」が『相続登記』です。

相続登記はこれまで相続登記をしなければならないという法的義務がありませんでした。

そのため、「手続きが面倒くさい」という理由で登記をしない人がいたり、「費用がもったいない」ということで手続きをしないという人がいました。

また、登記はしたくても、遺産分割で揉めていて誰が相続するのかが決まらず「相続登記ができない」という人もたくさんいるようです。

このような状況から相続登記がされないため、相続登記を義務化することになりました。

令和6年4月1日以降に発生した相続に関しては相続登記が義務化がされますが、気を付けたいのは、多くの法律は法律が施行される施工日以降のものが対象になってきますが、今回の相続登記の義務化は令和6年4月1日以前に発生した相続にも適用されます。

具体的に「いつまでに相続登記を行わなければならないのか」というと、施工日か、相続開始を知りかつ不動産の所有権を取得したことを知った日のいずれか遅い日から3年以内となっています。

つまり施工日以降に相続開始を知った、不動産の所有権を取得したことを知った場合には、その日から3年以内、施工日より前に知った場合は、令和9年4月1日までに相続登記を行う必要があるということです。

施工日令和6年4月1日以降、正当な理由がないにもかかわらず申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科される場合があります。

相続登記を行わないデメリット

相続登記を行わないデメリットは過料だけではありません。

まず、不動産の売却ができません。

相続登記が未登記の不動産は、売却することができないのです。

また、不動産を担保にするなどの担保設定もできません。

なので不動産の利用方法が、かなり限定されます。

もともと利用したくないから、登記をしないと思いますが、いざ使いたくなったときに困ってしまいます。

他にも共有持ち分を持つ人数が増えるということも挙げられます。

当初は、配偶者と子供2人が相続人だった場合でも、その子供が亡くなった場合、相続人は子供の配偶者と子供の子供、つまり孫も相続人になります。

その孫が亡くなった場合など、ネズミ算式に共有持ち分を持っている人数が増えていきます。

このように共有持ち分を持つ人数が多くなると、この不動産を「有効利用したい」、「処分したい」と思っても共有持ち分を持っている人全員の合意と手続きが必要になるので、膨大な作業量が必要になります。

また、その中の1人でも納得しない人がいれば、前に進めることもできません。

共有持ち分を持つ人数が多くなると、司法書士に登記の依頼をした時の費用も高くなります。

共有持ち分を持っている人の中に借金をしてる人がいたら、その債権者は借金をしてる人の法定相続分を差し押さえることができます。

そしてその借金が返せないと、その共有持ち分が競売に出されるなどして、第三者の手に渡ることもあります。

共有持ち分を持つ人が全て親族でも、遺産分割協議をまとめるのは大変なのに、第三者が入ると、余計にまとまらなくなります。

また、悪意を持った第三者が入ってくると、この状態を解決したいと持ち掛けても高額な金銭を要求されるということも考えられます。

このように共有持ち分を持つ人が増えると
・利用を制限される
・処分が難しくなる
・費用が高くなる
・トラブルに巻き込まれるリスクも出てきます。

相続登記をしないというのは、自分の代でのリスクやデメリットを将来に先送りして、子供、孫の代でリスクやデメリットが増大していくということです。

リスクやデメリットを将来に先送りするのでなく、できる限り早く解決してしまいましょう。

相続登記を行う方法

司法書士に依頼するのが一般的ですが、どのような流れでどのような手続きだから自分でやるのでなく、司法書士に依頼するのかを知っておいてください。

準備として法務局で現在の不動産の状況を確認します。

次に亡くなった人と相続人の戸籍謄本等を取得します。

(具体的には、戸籍謄本、改正原戸籍、除籍謄本、附票などです)

亡くなった人の戸籍謄本等を確認し、「誰が相続人なのか」を確定するために、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を取得しますが、この作業に結構手間がかかります。

出生地と死亡地が同じであれば手間はかかりませんが、他県などに引越し、結婚等で住所地が変更していれば、すべての場所で取得する必要があります。

郵送での取得もできますが、とても骨の折れる作業です。

「誰が相続人なのか」確定したら、遺言がない場合は相続人全員で話し合い、それを書類にまとめます。

この相続人同士で話し合うことを『遺産分割協議』と言い、これらを書類にまとめたものを『遺産分割協議書』と言います。

『遺産分割協議書』には、相続人全員の署名と実印での押印が必要です。

この『遺産分割協議』で相続人の人数が多いと、話がまとまらなかったり、時間や費用がかかります。

相続登記に必要な書類としては、
・被相続人は、(出生から死亡までの戸籍謄本、住民票の除票または戸籍の附票)
・相続人は、(相続人全員の戸籍謄本、住民票(不動産を相続する相続人のもの)
・相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書、相続人全員の戸籍謄本の本人確認書)

不動産に関する書類としては、評価証明書が必要になります。

これらが準備できたら、不動産の所在地を管轄する法務局で手続きを行います。

この時に、登録免許税を支払います。

登録免許税は相続登記の場合、固定資産税評価額の0.4%です。
(例えば、固定資産税評価額が3,000万円であれば、12万円です)

登録免許税は司法書士に依頼しなくても必ずかかる費用です。

ここまで見てきたように、相続登記は書類の収集、遺産分割協議書の作成などに非常に手間と時間がかかります。

しかも自分でやる場合、経験が浅いためにわからないことを聞いたり、書類の不備などで、法務局に何度も出向くことになる場合もあります。

その手間と時間を省くために、司法書士に依頼するのが一般的になっています。

司法書士に依頼した場合の報酬は、不動産の数、相続人の数、司法書士が行う手続きの量によります。

『一般的な相場』

・戸籍謄本取得代行報酬(2万円から5万円程度)
・遺産分割協議書の作成報酬(3万円から10万円程度)
・名義変更手続き報酬(5万から10万円程度)


遺産分割協議書の作成を自分でした場合、登記申請に使える様式になっているかの問題がありますので、専門家に依頼することをお勧めします。

相続登記ができない場合の対処法

相続登記の義務化に理解し、登記をしたいと思ってもできない場合があります。

それは遺産分割協議で揉めており、遺産分割協議書が提出できない場合です。

今回の『相続登記の義務化』というのは、相続登記をしてもらうというよりも、「所有者不明」の土地をなくすということが目的なので、最悪相続登記ができなくても誰が所有者かを明確にすればペナルティである過料は科しませんという制度も用意されています。

それが相続人申告登記です。

『私はこの不動産の相続人です』と登録するような作業です。

相続登記の場合であれば遺産分割協議書が必要ですが、相続人申告登記は遺産分割協議書の添付の必要がなく、単独で行うことができます。

その相続人申告登記をしておくことで、過料を科されることがなくなります。

令和6年4月1日から開始される予定なので、遺産分割協議書の作成が遅れてしまいそうな場合は、こちらの利用をお勧めします。


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